コラム2013.03.29
Webディレクターに求められる8つの能力と、3つの心構え(3)

Webディレクターに求められる心構え

こんにちは。卒業生のミナベトモミです。

前回は「Webディレクターに求められる8つの能力」についてお話をしてきました。これらの能力を高めていけば、プロジェクトは自然と上手くいくはずです。とはいっても、理屈でわかっていても、具体的な局面ではどうすれば良いのか迷う事があると思います。

私の持論で恐縮ですが、仕事は人間同士で行うものなので、全ての問題はコミュニケーションの少なさが引き起こすものだと思います。私の実体験では、コミュニケーションが上手くいけば8割以上の問題は解決すると感じています。

少しでもノウハウとしてお役に立てればと思い、私が普段プロジェクトのコミュニケーションで心がけていることを紹介します。

クライアントを打ち負かさない。

私がまだキャリアをはじめたばかりの頃です。とあるショップのブランディングをした際に、コミュニケーションロスが原因でクライアントを不安にさせてしまい、多くのデザイン修正依頼を頂いた事がありました。

修正依頼の内容はクライアントと決めたコンセプトから大きく逸脱したものであったため、「修正を行うことはプラスにならず、このまま進めるべき」と私は主張し、無理矢理修正を撤回させてしまった事がありました。

しかし、プロジェクトが順調に進み最後の詰めを残すのみと思われたとき、クライアントから前回をさらに上回る修正を依頼され、今度はどんなにコミュニケーションを図ろうとしても覆る事はありませんでした。

その時の最大の失敗は、相手が不安に思っていた気持ちを解消せずに、相手の間違いを指摘し、言い負かしてしまったことです。その様な応対をすれば感情的なしこりが残り、必ずどこかのタイミングで反撃されてしまいます。

相手とのコミュニケーションで問題が起きたときの対処法は、言い負かすのではなく必ず相手の話を聞いて不安や不満をすべて取り除く。ある意味でカウンセラーになりきる必要があります。

気持ちを全て吐き出してもらえるまでこちらからの提案は受け付けてもらえる事はほとんど無いので、とにかく相手の気が済むまで、聞 き役に徹することです。また、相手の間違いを指摘するのではなく、ヒアリングをしたうえで、必ずこちらの実力不足をお詫びすること。とにかく誠実さが重要 です。

そうした後にはじめて相手は冷静になり、こちらの意見に耳を傾けてくれることが多いと感じています。

聞き役に徹することが上手くいけば感情のシコリが取れ、思った以上にアッサリとこちらの提案を受け入れてくださり、話がまとまるケースが多いように感じています。

また、仮に最終的にこちらの意図通りの方向になったとしても、相手が「自分の意図通りになった」というプラスの気持ちを持ってくれる事が交渉の場ではマストとなります。

試合に負けて、勝負に勝つという心構えが交渉では重要です。感情的になった方が交渉に負けるという気持ちを、常に持たなければなりません。

スタッフを母性で肯定して、後に父性で厳しく鍛える

スタッフのマネージメントは子育てに通じているという考え方があり、「母性と父性のマネジメント」といいます。

産まれたばかりの赤子は、この世に生を受けてから何をするにも不安で一杯です。それこそ食事をするにも、外に出る事も、寝る事 すらも、その意味が判らず不安で泣いてしまいます。そうした時に必要になるのが「母性の無償の愛」であり、赤子が何をしたとしても、初めの数年間は優しく 慰め、褒めてる事が重要といわれています。

そうした期間を通す事で赤子は「自分はここにいてよいのだ」という安心感を抱き、親との信頼関係を得るようになるのです。その後に出番がくるのは「父性」で、ようやく厳しく社会のルールを教えたり叱咤激励する事が可能となるのです。

母性を与えないうちから厳しく叱ってしまうと、安心感と信頼関係がないため、決して言う事に従ってくれません。

プロジェクトに関わるスタッフにも同じで、はじめからガミガミと叱っても言うことを聞いてくれません。まずは相手の良い所を肯 定し、褒めてプロジェクトに対する安心感を持たせることです。そしてモチベーションがあがった所で、はじめて品質が足りない事を伝え、叱咤激励していく事 が可能となるのです。

スタッフと感情的にこじれてしまった時は、今一度、母性→父性のフローを間違えていないかを考えてみる必要があります。

相手のイケスの魚を増やして、増えた分を分けてもらう

プロジェクトで問題が起こるケースとして多いのが、金銭についてのコミュニケーションです。制作陣が理由も無く「予算をできる限りとるべき」といった私利私欲を持ってしまうと、それがクライアントに見透かされてしまい感情的にこじれてしまうケースをよくみかけます。

予算も時間も、自分の事だけを考えればできる限り取るべきでしょう。しかしクライアントの立場からすれば、予算を抑えて、時間をなるべく短くしたい と考えるのは当然のことです。プロジェクト開始後に、そうした主張が平行線を辿ってしまい、結果的に予算や時間について話がまとまらず、喧嘩別れになって いるパターンは多いように感じます。

特に独立したてのクリエイターの方にその様なケースが多い気がしますが、そうした主張はビジネスの原理に反しており、とうてい上手くいくものではありません。

ビジネスの基本は、「相手の立場に立って考え、相手のお役にたった分の対価として、お金を頂く」 「自分の価値を高めて、相手が高い予算を喜んで払えるようにする」 ということでです。相手が自分の希望する予算を払わないのであれば、それは相手に自分の価値が認められていないだけであり、それについて文句をいうことは間違っています。(もちろん、1度支払う契約をした後で踏み倒すのは論外ですが)

また、あくまでもらえるお金に関しても、相手に役に立てた分だけを請求するというのが正しい形です、予算を自分の価値以上にとろうとする姿勢をもつと相手に見透かされてしまい、次の依頼には決して繋がらないのではないでしょうか。

基本姿勢としてもつべきなのは、「相手のイケスの魚を増やして、増えた分をわけてもらう」という姿勢です。クライアントのイケスの中に魚がほとんど入っていないのに、それを奪おうとしても上手くいくわけがありません。

まずは相手の立場を大切にして、一緒に「相手のイケスの魚を増やそう」とすることです。イケスの魚が増えれば、クライアントは喜んでお金を支払ってくれるはずです。「相手のイケスの魚を増やす力」が相手の感じてくれる自分の価値と言えるでしょう。

前述した【Webディレクターに求められる8つの能力】を使って、プロジェクトを成功に導く力。そして相手の立場に立って考え、相手の満足感を最大化し、喜んで気持ちよくお金を支払ってくれる状況をつくる事が重要ではないでしょうか。

人材不足のWebディレクター

Webディレクターは広告業界全般を見ても、必要な能力が最も多く、難易度が高いながらも、もっともやりがいのある仕事の1つだと思います。

Web業界は、まだまだこの程度の規模で収まらず継続的に伸びていく業界です。そのため、業界全般を見ても、まだまだWebディレクターは人材不足と感じています。優秀な方が数多く業界に入ってくださることで、Webを盛り上げていければ良いと感じています。

ちなみに弊社DONGURIでも「Webディレクター」を随時募集しています!興味のある方は弊社ミナベまでご連絡下さいませ。

執筆者プロフィール

クリエイティブディレクター
ミナベトモミさん

インターネット・アカデミーを卒業後、アートディレクションカンパニーDONGURIを立ち上げる。制作実績は「もてますカラ」のブランドマネージメントをはじめ、早稲田大学の学科サイト、個室サロンなど幅広く、デザイン性の高さやブランディングの提案力に定評がある。

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