Web業界人コラム「自分の仕事の付加価値を考える」クレリア・デザイン 鈴木秀人

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自分の仕事の付加価値を考える自分の仕事の付加価値を考える

クレリア・デザイン
鈴木秀人

はじめまして。

卒業生の鈴木秀人です。クレリア・デザインという屋号でフリーランスとして活動し始めて4年ほどになります。

少々堅い話ですが、仕事の付加価値について取り上げたいと思います。

どんな仕事もそうですが、特に自分のようなフリーランスという立場で仕事をしていると、自分自身の仕事の付加価値を常に意識せざると得ません。

クライアント(お客様)が認める付加価値がギャラ(報酬)という形で跳ね返ってくるわけですが、その付加価値がクライアントにとってギャラ以上のものであれば、次の仕事や紹介などにつながりますが、そうでなければ信頼関係は築けませんし、結果として継続して仕事をいただけません。
そういう意味では、前職で企業という組織体で安定的に働いていた時以上に、自分自身の仕事の付加価値を常に意識せざると得ないのです。

しかし、現在、そして今後私たちの取り巻く環境では、その付加価値というものは、自分たちが考えている以上のスピードで出しにくくなっていくだろうと思います。

それはなぜか?

キーワードは2つあります。
それは、競争とコモディティー化です。

フリーランスの付加価値はグローバルで測られる時代へ

競争は言うまでもありませんが、Web業界は他業界以上に非常に厳しい過当競争にさらされていると思います。非常に多くの業者やフリーランスが凌ぎを削っていることで、以前と同様の仕事の請負金額は下落傾向が続いています。

自分自身は基本的に元請けでやっているので、個々の作業の単価についてはよくわかりませんが、ネットで少し調べると、驚くような安い金額でサイト制作一式を請け負う業者もあります。そのおかげ?で、紹介をいただいても、紹介先がそうしたネットの情報を収集していると、「サイト制作一式◯万円以下ならお願いします。」みたいなことを言われて、お断りすることもあります。

そもそもその提示価格がものすごく低いこともありますが、そうしたことを言う人は、価格にプライオリティーを置いているので、継続していい関係が築けるとは思えないからです。

このように競争によって、仕事に対するクライアントの見方(価値の判定=価格水準)は厳しくなる一方となっています。

更に、グローバル化も追い打ちをかけます。同じようなWebの仕事を行なっている人はおそらく世界中に想像以上にいると思います。

例えば、東南アジアの人で同じスキルを持つ人がいたら、その人が請け負う方が間違いなく日本人よりも安いはずです。
日本人が日本語ができるという当たり前のアドバンテージだけで安穏とはしてられません。

今後は日本語ができる東南アジアやインドのWebデザイナーなども増えてきてもおかしくありませんし、プログラマーなどは実際そういう人も多くなっていると思われます。

自分はプライベートに英語のポートフォリオサイトを持っていますが、どうやって探し当てたのか、こんな膨大なサイトの中のゴミのようなサイトを通じて、セールスしてくる外国人のフリーランスもいます。こんな時、世界はまさにフラット化していると感じます。

彼らが日本市場においてどんどん競争に参入すれば、日本人にとってはますます付加価値は出しにくくなっていくでしょう。

そして、もう一つのキーワードはコモディティー化です。

どんな仕事も、効率化が図られ、結果としてこれまで人が行なっていた仕事はシステムや機械に置き換えられ、誰にもできる単純作業などは中国人などの外国人労働者によって担われていたりします。

Webの技術も日進月歩でどんどん進歩し、非常に早いスピードで作業の効率化が図られています。一昔前は特定のスキルを持った人だけができた仕事も、どんどん誰もができる仕事やシステムに置き換えられています。それがすなわち仕事のコモディティー化です。

将来的には世界中のサイトデザインのデータが整備され、クライアントの要望(カラー、レイアウト、イメージなど)を入力しさえすれば、AI(人工知能)を介してオリジナルのデザインカンプがいくつでも作成されて、自動的にコーディングも行われるだろうくらいのことは、改まってイノベーションと呼ばなくても想像に難くありません。