コラム2013.03.19
Webディレクターに求められる8つの能力と、3つの心構え(2)

こんにちは。卒業生のミナベトモミです。

今回のコラムは、前回に引き続き「Webディレクターに求められる8つの能力」について具体的にお話をしていこうと思います。

Webディレクターに求められる8つの能力

1.コンサルティング力

優れたコンサルタント程、あまり話さず相手の話をよく聞きます。どのような案件に関しても、まずは相手の戦略を理解しなければなりません。
求められているのは、あくまでクライアントの経営戦略に沿ったWebサイトであり、そこからはみ出してしまっていては、どんなアイディアも受け入れてもらえません。まずは理解を深めるために、ヒアリングをすることです。

しかし、目的を叶えるためにはどんなコンテンツをつくれば良いかをクライアントが理解していることは稀で、手段を取り間違えているケースが多くあります。そうした際に、相手の本当の目的を理解し、それを叶えるために最も効果的な方法を提案する必要があります。

相手が深層心理で1番求めているものを提案すること。もし、これを最初の段階でWebディレクターが失敗すれば、プロジェクトは確実に失敗に終わるでしょう。

Webディレクターには最も重要な能力と言えます。

2.マーケティングセンス・分析力

Webのプロジェクトには数値的な結果を求められるケースがほとんどで、結果を出すためにはマーケティングセンスはもちろん、分析力が必要となります。

Webマーケティング系のツールは数多く存在しますが、それを使うだけではなく数値の意味を理解して現状分析をする力が重要です。 さらに、そこからどのようにコンテンツを改善すれば良いのかを考えていく必要があります。Webディレクターはプロジェクトを成功に導くために、常に戦略 を考え続けなければなりません。

さらに、Web以外のマーケティング知識やセンスも持ち合わせたうえで、ブランド/プロモーション全体の戦略を理解し、他の4マス媒体とも連携して行く事が好ましいでしょう。

3.予算・タイムマネジメント

予算・タイムマネジメント

ディレクターには、与えられた予算内で可能な限りコストを抑えて自社の利益を上げつつ、工数をできる限り抑えて、余裕をもったプロジェクト運営を行うことが求められます。

クライアントに対して、コストオーバーによる追加予算や、日程延期の要請などを行うことはWebディレクター自身はもちろん、自社の信用を大きく失わせる行為であり、プロジェクトを代表する立場として行ってはならないことです。

また、無駄な工数をかければプロジェクトに関わる全てのスタッフに体力や精神的な負担もかかるでしょう。できるだけ無駄な仕事を減らし、スタッフを早く帰らせて心身ともに整えてもらうことが品質やスピードを高めることにもなり、良いスパイラルに繋がります。

また、Webディレクターには自社の利益を最大化することも求められています。どんなに話題性あるコンテンツをつくり数値的な結果を出せても、自社の利益をないがしろにしては優秀なディレクターとは言えないでしょう。

クライアント、スタッフ、自社にとって最も良いバランスを探ることがWebディレクターには求められています。

4.スタッフのマネジメント

プロジェクトに関わるスタッフにはそれぞれ適正があります。たとえ自分で考えた戦略がベストだと感じていても、スタッフの能力とのアンマッチにより、上手くいかないこともあります。

もちろん、予算が潤沢にあり、戦略に最もマッチングする人材をアサインできれば良いのですが、全てのプロジェクトにおいてそれが実現できるわけではありません。アサインできなかった場合は戦略を修正して、スタッフが力を発揮する形に変えたほうが結果が出やすくなります。

また、もしスタッフの能力が単純に足りない場合は叱咤激励して導き、それでも駄目なときは、そのスタッフを責めるのではなくWebディレクター自身が全て仕事をやり直してあげる。リーダーとしてそれ位の覚悟は必要でしょう。

もし、どうしてもスタッフがプロジェクトを行うのが無理だと思う場合、事前に適正あるスタッフに変えるように調整するか、それが不可能であれば、そのスタッフの行う仕事の難易度を下げられるように調整していく必要があるでしょう。

5.品質にこだわる姿勢

提出物に対してクライアントが何度も修正依頼をしてきたりクレームが入る場合、品質に問題があるケースが多いと感じます。

多くのプロジェクトを抱え、スタッフ共々疲労が溜まっているときに「これ位でいいか」と妥協してクライアントに提出してしまう事は 往々にしてあると思います。しかし、達するべき品質を満たしていないことによって修正対応など更なる工数が発生してしまい、自分達の首を絞める事はよくあ ります。

提出物に対して 「まだ出来る事があるのではないか」 「詰められる事があるのではないか」と何度も考え検証し、これ以上は品質を高めようがないという状態でクライアントに提出する心構えが必要です。それが結果的には工数を減らすことに繋がります。

もちろん、Webディレクターは最終監督者として、とことん品質にこだわる必要がありますが、スタッフがそれにより疲弊していかないようにケアしていく事も同時に求められます。

6.技術職に対する理解

デザイナーやエンジニアなどの技術者は、戦略に沿うことよりも表現的な技術や技法を優先してしまうことが往々にあります。つくってもらったものが戦略に適合せず、かといってコミュニケーションをしてもその溝が埋らず、悩みの種になっているディレクターは多いと思います。

「そんな拘りはいいから、○○してくれよ!」 そう言いたい気持ちはわかりますが、ちょっと待って下さい。デザイナーやエンジニアなど技術職傾向の強い職種の方は、「先端の技術や新しい手法を試してみ たい」「面白い事をしてみたい」といったことをモチベーションにしている方がほとんどです。彼らは自分の挑戦してみたいことを潰される事を嫌がります。

逆に言えば成長意欲や挑戦意欲が高いことを評価し、プロジェクトに活かす方法を探ってみてください。具体的に言うと、プロジェクトを始める前に技術 者と対話をし、「今回の方向性は○○だから、ここは守って欲しい。そのかわり、新しい技術(デザイン)に挑戦してみよう」といったことを話し合い、大枠を 守りながら、範囲を決めて挑戦できるようにしてあげる。そして、あくまでも技術職の方の挑戦を応援してあげる姿勢を保つ。そうすれば、モチベーションを高 く保ってくれるのではないでしょうか。

技術職の方にはメンタルコントロールが苦手な方が多く、なかなか思い通りに動いてくれることがなく、ストレスに感じるかもしれません。ただ、それにも理解を示し、上手に導いてあげて、気持ちよく働かせてあげることが重要なのではないでしょうか。

7.交渉力

交渉力

プロジェクトの運用がどんなに上手くいっていても、クライアント側から急にネガティヴな意見が発生してしまい頓挫してしまったり、 どうしても追加予算や日程が必要になることなどの緊急事態が起こることがあります。そうした場合は、クライアントの不安要素をヒアリングし、それをコミュ ニケーションにより解消しながら、できる限り両者にとってダメージの少ない形に交渉しなければなりません。

自社にとって不利な条件を全て飲んでしまってはスタッフにも余計な負担を強いる事になってしまい、自社の利益にも影響がでます。かといって、相手が 不安を感じている状態なのに無理にこちらの条件を飲ませてしまっては、プロジェクトが無事に終ったとしても次の案件に繋がることは無いでしょう。

まずはコミュニケーションを十分に図り、時間をかけて不安をヒアリングすること。そして、現状の対策で結果が出ることを先方が納得がいくまで説明すること が大切です。コミュニケーション不足が原因で、相手の不安に繋がっている場合がほとんどなので、対話をしっかり行うことで、問題が解決できるケースが多い のではないでしょうか。

また、 対話をしてもまだ問題点が残る場合は、自社として限界まで行える事や解決策を誠実に提示し、それでも対応が難しい範囲も説明します。その中で相手が納得する範囲を探ることが必要だと考えます。

もしそれでもクライアントが納得しない場合は、恐らくクライアントとWebディレクターが「目的」を共有しきれていなかったことが原因です。この場合は失 敗を認め、クライアントにもスタッフにも自社にも謝罪を行い、プロジェクトを仕切りなおすしかないのではないでしょうか。こうならないためにも、事前に十 分なコミュニケーションを行うことが最も重要と言えます。

8.責任感

プロジェクトが上手くいかないのは「クライアントが物分りが悪いから」でも、「スタッフの能力が足りないから」でもありません。全てはWebディレクターの能力と器が足りず、トップであるディレクターが責任をとっていないことが原因です。

知識保持者にはその知識を共有する義務があり、「相手がわかっていない」と考えるのは責任放棄に過ぎません。プロジェクトを運営し ていれば必ず問題は発生するもので、その際に他人のせいにするのではなく、必ず自分の責任と考える事です。そうしなければスタッフはもちろん、クライアン トの信頼を得ることも難しいでしょう。

昔から言われていることですが、「優秀なスタッフが揃っていて、無能なリーダー」の組織と、「スタッフは普通だが、リーダーが一流」の組織では、後者の方がパフォーマンスが高いといわれています。

Webディレクターの能力や器以上にスタッフが実力を発揮する事はありません。もしプロジェクトが上手くいかないときには、まず真摯に自分に足りない所があるのではないか。自分が果たすべき責任を果たしてないのではないか。そう振り返る事が重要ではないでしょうか。

次回は、Webディレクターの3つの心構えについてお話をしたいと思います。

執筆者プロフィール

クリエイティブディレクター
ミナベトモミさん

インターネット・アカデミーを卒業後、アートディレクションカンパニーDONGURIを立ち上げる。制作実績は「もてますカラ」のブランドマネージメントをはじめ、早稲田大学の学科サイト、個室サロンなど幅広く、デザイン性の高さやブランディングの提案力に定評がある。

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